

責任ある調達
責任ある調達
当社は、製品を製造するために、世界各国から高品質の材料と素材を調達しています。その過程で、責任ある調達を行なうよう真摯に努力し、人々や環境に対する潜在的な影響に注意を払っています。
当社は、広範かつ多様な供給業者のネットワークと連携しています。 そうすることにより、当社は事業運営している地域社会に配慮しながら、調達方法を継続的に改善、強化することを目指しています。 当社のポリシーとプログラムは、私たちが大切に守っている価値観、そして長年にわたり果たしてきた責任という伝統を具現化したものです。
配慮のあるサプライチェーン
当社には、生物多様性に富んだ環境から原料を調達してきた長い歴史があり、当社が使用する半分以上の原料は植物由来です。 世界の天然資源に対する脅威が増大する中、当社は、生物多様性を保護するためのアプローチを強化し続けています。
配慮のあるサプライチェーンを中心とした取り組みから始まり、環境や地域社会への影響を最小限に抑えた材料の調達を行っています。 複雑なサプライチェーン内に存在する問題に対処するための継続的な取り組みの一環として、2025年末までに、影響を受けやすい原材料のサプライチェーンを特定し、そのためのしっかりとした生物多様性に関する社会的行動計画を策定する予定です。 これらの原材料については、以下の「注目の原材料」でご確認ください。
森林由来の原材料
当社は、農産物の世界的な購入業者であることから、農作物生産、植林、その他の土地利用のために伐採された土地で栽培された原材料の調達を避ける責任があります。 当社の森林破壊ゼロ、泥炭地ゼロ、搾取ゼロ(NDPE)の方針には、森林破壊や転換を無くし、人権を保護する当社の原料供給業者への基本的要件が明記されています。
このような林産物の1つにパームオイルがあります。 当社のパームオイル、ヤシの実オイル、パーム核油(PKO)、PKO由来成分の使用量は比較的低いと言えますが、当社は持続可能な生産とトレーサビリティに関連する問題や課題を重視しています。 パームオイルの責任ある調達に注力し、供給業者やコミュニティ、専門組織と連携してパームオイルの持続的な調達方法を模索しています。 2025年末までに、少なくとも95%の当社のヤシ由来成分(パームオイルとその派生物)でRSPOサプライチェーンから持続可能性に関する認証を受ける予定です。*. パームオイルに関する当社の見解と行動 および木材 について、詳しくはこちらをご覧ください。 目標達成に向けた進捗状況については、最新の 「社会貢献&サステナビリティレポート」をご覧ください。
森林伐採を撲滅するという当社のコミットメントは、原材料に留まりません。 2025年末までに、当社はFSCから認証を取得した森林由来のダンボール箱を100%使用すること、そして責任ある方法で調達された紙製品を可能な限りパッケージに使用することを目標としています。 持続可能なパッケージへの取り組みについての詳細は、製品への責任をご覧ください。
CDPフォレストへの回答
ELCは、CDPのフォレスト質問書に回答した数少ない企業グループの一員であることを誇りに思います。 私たちは、2023年、森林由来の原材料、 パームオイルと木材の開示の両方でスコアA-を獲得しました。 詳しくは、2024 CDP Response をダウンロードしてご覧ください。
*エスティ ローダー カンパニーズが直接調達していないヤシ由来原料を含む外部委託製造業者(TPM)が製造した製品は除きます。
供給業者の評価とモニタリング
当社のグローバルサプライチェーンは、包装材料製造業者、原料供給業者、外部製造業者をはじめとする直接的供給業者と、輸送、エネルギー、印刷、ビジュアルマーチャンダイジング、売り場建設請負業者やその他のサービスプロバイダーなどの間接的供給業者で構成されています。
当社は、リスクアセスメントを実施し、特定の直接的および間接的な供給業者に対して適正評価を行っています。 さらに、供給業者の業績をモニターし、必要に応じて是正措置を実施しています。 当社は、オンライン評価サービスのEcoVadisを使用し、供給業者の環境への影響、労働、人権、倫理的かつ持続可能な調達の評価を行っています。
詳細は、供給業者の持続可能な慣行をご覧ください。
サプライヤー行動規範
当社のサプライヤー行動規範は、責任ある調達プログラムの基盤となっています。 この行動規範は、業務のすべての側面において、人権、先住民および地域社会の権利、労働者の権利を重するよう供給業者に明示しています。 供給業者は、最低賃金、労働時間、残業手当、雇用、労働安全、強制労働、児童労働、生物多様性にかかる地域の規制および国内法を遵守する必要があります。
サプライヤー行動規範は、標準購買契約と併せて、供給業者が政府、法律、規制、職業の観点から適用されるすべての規則および法規を完全に遵守することを義務付けています。 当社の責任ある調達チームは、供給業者モニタリングおよびコンプライアンスプログラムの強化に常時取り組んでいます。 当社は、リスクアセスメントを実施し、特定の直接的および間接的な供給業者に対して適正評価を行っています。 さらに、供給業者の業績をモニターし、必要に応じて是正措置を実施しています。
サプライヤー行動規範について、詳しくはこちらをご覧ください。
戦略的パートナーシップ
持続可能な調達に関する課題に効果的に取り組むには、政府、市民、地域社会、民間企業間のコラボレーションが必要です。 このプロセスの一環として、当社は、調達戦略の構築と強化を支援する組織と連携しています。
当社は、以下の事項を含む調達に関する慣行を継続的に改善するために、複数の利害関係者と協力した取り組みに参画しています。
- AIM-PROGRESSは、さまざまな消費財製造業者やその共通の供給業者向けの世界的な責任ある調達フォーラムです。 AIM-PROGRESSは共同監査、メンバーのベンチマーキング、供給業者の能力構築、およびベストプラクティスの教育を通じて、メンバーと協力しながらサプライチェーンの慣行を改善しています。
- パームオイル産業の利害関係者から成る非営利組織持続可能なパームオイルのための円卓会議(Roundtable on Sustainable Palm Oil:RSPO)は、持続可能なパームオイルのために国際基準の策定、適用に取り組んでいます。 RSPOは、持続可能性が認証されたパームオイル(CSPO)を生産するために企業が遵守しなければならない環境基準および社会基準を定めました。 これらの基準を正しく適用することにより、パームオイル栽培が生産地の環境やコミュニティに及ぼす悪影響を最小限に抑える支援をすることができます
- 当社が創設メンバーである持続可能な派生物のための行動(Action for Sustainable Derivatives (ASD))は、複雑なパームオイル派生物のサプライチェーンに焦点を当てた連合であり、パーソナルケア企業のグループと、派生物を使用する供給業者で構成されています。 ASDは、世界の派生物サプライチェーンの透明性を高め、サプライチェーンに関するリスクと行動を集団的に監視し、現地の社会的および環境的問題に対処するための集団行動プロジェクトを実施することを目指しています。
- BSR™ は、サステイナブルビジネスの専門家集団です。世界のトップ企業のグローバルなネットワークと協力し、公正で持続可能な世界を構築するため尽力しています。
供給業者のインクルージョン&ダイバーシティ(多様性)
サプライヤーの多様性を確保することは、当社のアプローチにおける重要な要素の一つです。 当社は小規模および少数民族経営企業を支援し、様々な地域の経済発展を活性化させるため、購買の選択肢を継続的に拡大することにコミットしています。
供給業者のインクルージョン&ダイバーシティ(多様性)に対する当社のコミットメント、価値観については、こちらをお読みください。
注目の原材料
当社は、人々や環境への潜在的な影響に配慮しながら、責任ある原材料調達に努め、多様な原材料のポートフォリオの中からプレステージビューティ製品やパーソナルケア製品を開発しています。

サンダルウッド
サンダルウッド
近年、同コミュニティは先住民が100%管理する非営利財団とともに、先住民が50%を所有するサンダルウッドオイル加工ベンチャー企業Dutjahn Sandalwood Oils(DSO)を設立しました。 同社の使命は、自然資源サプライ チェーンにおける先住民コミュニティの利益率を改善および拡大し、自然を基盤とした文化的経済を構築することです。このために、地域政府と協力し、公正かつ公平な条件に基づき、砂漠から自然の植物を持続可能な方法で収穫するための許可を付与しています。 アヴェダはDutjahnの最大の支援企業の1社であり続け、業界最大級のフレグランス製造業者のパートナーおよび供給業者としてDutjahnを紹介しています。


Dutjahn Sandalwood Oils x ELC:美しい未来をともに創造する
2019年会計年度、Dutjahnは国連開発プログラムの赤道賞(Equator Prize)を受賞する世界の22の先住民コミュニティの一つに選ばれました。同賞は気候変動、環境、貧困問題に取り組むための革新的で自然に基づいたソリューションを展開する地域および先住民組織を表彰します。 エスティ ローダー カンパニーズはDutjahnとの提携を誇りに思っています。当社は尊敬しあうという価値観の共有、耳を傾けることで学ぶこと、関係者全員のウェルビーイングと命を育む土地へのコミットメントを守り続けます。

マイカ
マイカ
化粧品業界で使用されるマイカの一部は、インドのジャールカンド州とビハール州から調達しています。 この2つの州はインドの「マイカベルト」を構成し、マイカ採掘業は地域経済の主要な産業となっています。
2005年、エスティ ローダー カンパニーズ(ELC)は、地域の非政府組織(NGO)であるバチパン・バッチャオ・アンドーラン(現:Kailash Satyarthi Children’s Foundation (KSCF))と提携し、マイカ採掘業における児童労働に関する一部の問題への取り組みを始めました。 KSCFはの地域社会と連携し、子どもにやさしい村(Bal Mitra Grams (BMGs))の開発を含め、インドのマイカ採掘業界における児童労働を根絶するための積極的かつ持続可能なソリューションを展開しています。


Kailash Satyarthi Children’s Foundation (KSCF) x エスティ ローダー カンパニーズ:マイカ採掘における児童労働に対処するためのパートナーシップ
子どもにやさしい村(Child Friendly Village)は、他の組織も採用している効果的なモデルで、教育を推奨し、子どもたちを学校に通わせることで、マイカ鉱山で働く子どもたちをなくすよう取り組んでいます。 また、これは、児童審議会の形成にも役立っています。若者が自立し、ジェンダーの平等性や、食べ物や水の入手手段といった重要な問題や児童権利に対処するために、地方自治体と協力できるよう支援しています。 2005年以来、私たちは、カイラシュ・サティヤルティ児童基金(KSCF)と提携し、マイカ採掘産業における児童労働に取り組んでいます。 2024年度末まで、ジャールカンド州のマイカベルトにある684すべての村 で「子どもにやさしい村」の設立を支援し、青少年のエンパワーメントと社会的課題の解決に取り組んでいます。

バニラ
バニラ
ブロックチェーンを活用したバニラのサプライチェーンの透明性が向上
マダガスカルの小規模なバニラ農家の生活は収穫量に左右されますが、農作物生産は繊細な作業です。 バニラの木は実をつけるまでに3~4年世話をしなければなりません。また、マダガスカルは、干ばつや洪水などの過酷な気象状況に脆弱な国です。

2020会計年度より、当社の責任ある調達チームとアヴェダは、マダガスカル産バニラの収穫から生産までのサプライチェーンを追跡するためにブロックチェーン技術を使用しています。 当社は戦略的な供給業者であるBSR、(En)Vible and IFF/LMRと提携し、プロジェクトに命を吹き込みました。
農家にはデジタルIDカードが提供され、農家固有のトレーサビリティコードをQRリーダー経由で送信できるようになりました。 携帯電話とQRコードIDを使用し、バニラの購入時に農家からのデータを直接収集できるようになりました。 製品および生産者情報がブロックチェーンに記録され、流通過程が管理されます。 品質と真正性を検証するために、バニラが生産者の手を離れた時点からブロックチェーン経由でサプライチェーンの追跡がされます。

このプロジェクトの目的は、複雑なサプライチェーンの透明性とトレーサビリティを高めることです。 また、当社は全世界のお客様にバニラの素晴らしさを届けてくれるバニラ生産従事者の支援を行い、公正で包括的なビジネス慣習の推進を目指しています。

パームオイル
パームオイル
ランプンプロジェクト: 持続可能な方法で生産されたパームオイルの入手可能性を高めるために、小規模農家を支援
2024年度、エスティ ローダー カンパニーズ(ELC)は、化学大手BASF、RSPO、NGO Solidaridadとのパートナーシップの完了を発表し、インドネシアの小規模農家(2.0 ヘクタール未満の農地を所有または耕作する農家)と連携することを発表しました。 全世界のヤシ生産の約40%は、ヤシ生産で生計を立て、バリューチェーンの主要な利害関係者である小規模農家が生産しています。 このプロジェクトはインドネシアのランプンでスタートし、インドネシアの小規模個人農家1,003人に技術教育と研修を提供しました。

このプロジェクトは、持続可能なパームオイルの生産の実施と維持に関する継続的な教育と技術サポートを提供することにより、農家が各自の生活や、パームオイルおよびパームカーネルオイルの持続可能な生産を改善できるよう支援を行います。 支援を受けた零細農家313人は、RSPOの小規模農家規格に従って認証を取得し、ELCは、新たに認証を取得した農家から220 RSPOクレジットを購入しました。
ELCは、パートナーやインドネシア政府と協力し、ランプンにおけるこの持続可能なパームオイル生産のサプライチェーンを育成してきたことを誇りに思います。このサプライチェーンは、森林伐採することなくグローバル市場での競争力を維持しながら、農家の社会的かつ経済的なリットを高めるものです。

シア
シア
2022年、エスティ ローダー カンパニーズ慈善事業財団(ELCCF)の支援を受け、BSRはガーナ北部のシア サプライチェーンで働く女性を支援することを目的とした特別プログラムを開発し、試験的に実施しました。 このプログラムは、ガーナ北部のジャンシェグ・コミュニティとモレ・クレマ・コミュニティの2カ所のシア協同組合で実施され、美容分野だけでなく、それ以外の分野にも拡張可能な提供モデルを確立することを目的としています。
試験的調査にあたっては、特定された村の女性のシアナッツ採集者や加工業者から意見を集めるなど、地域情報に基づいたアプローチが取られました。 シアの収穫は家計の補助的な収入源である一方、女性が既に習得している仕事を強化するには、貯蓄や借入の方法などの金融トレーニングやリテラシーへのアクセスが最も需要が高いニーズであるとスコーピングで明らかになりました。 スコーピングで明らかになった主な認識から、地域社会のニーズをサポートするため、資産管理に焦点を当てたオーダーメイドのトレーニングモデルが策定されました。 その結果、2つの協同組合サイト全体で、1,000人を超える女性たちが、資金計画、予算管理、金銭管理、金銭に関する家族での話し合いなど、それぞれに合わせたトレーニングを受け、80人の女性のシアナッツ収集、加工業者がピア・エデュケーターとしてボランティアで参加しました。

